過去のトピックス  P. T. C.(Professional Tooth Cleaning)

○プラークについて
 歯ブラシ・歯間ブラシ・デンタルフロス等を使用して御自身で日常行っている口腔内の清掃をHome Careと言いますが、かなり丁寧にHome Careをしていても、歯垢(プラーク)が残ってしまいます。
このプラークは、口腔内の常在菌(口腔や腸管内に寄生している細菌)が集合して堆積したヘドロの様なもので、掻き取らないと除去はできません。
 プラークは、ウ蝕・歯周病の原因となりますが、プラークを完全に除去することを御自身のみでは困難です。

○若年齢者とプラーク
 10〜20歳の年齢層の方にとってのプラークの危険性はウ蝕(ムシ歯)です。
歯の表面を被うエナメル質は、唾液に含まれている過飽和のカルシウムによってより硬いエナメル質に成熟していくのですが、この年代のエナメル質はまだ未成熟で、プラークが付着するとカルシウムが溶解し易く、ウ蝕になる傾向が高いためです。
なお、唾液のカルシウム分泌は個人差があり、この能力を調べる検査は別途行っております。(唾液緩衝能TEST)

○中高年者とプラーク
 40歳以降は、新陳代謝・免疫力が徐々に低下しますので、プラーク内の細菌が産生する種々の毒素によって歯周病が発生する危険率が高まります。
歯周ポケットの中にプラークが付着するとHome Careのみではポケット内のプラークを除去することは大変困難です。
この年齢以降に発症することの多い糖尿病・動脈硬化・肥満症などの成人病疾患や、ウツ病などの精神疾患と歯周病の因果関係が最近の疫学的研究で明らかとなってきました。

○プラークを形成する細菌について
 なお、プラークを形成している細菌は100種類以上が検出されていますが、その中でも、特に歯周病の毒性の強い5種類の細菌の検出と、ウ蝕の原因菌の検出はDNA分析で、別途行っております。

○PTCはどのように実施するか
  PTCは、歯科医・歯科衛生士が、目に見えている歯の面は清掃の後、エナメル質の表面に発生した微小なキズをナノ粒子状のハイドロオキシアパタイト(歯の主成分である燐酸カルシウムの結晶と同じ物)を特殊な技術で摩りこみ歯の表面を強化してウ蝕の発生を防止するとともに、歯周ポケットの中に堆積しているプラークを丁寧に取り除き、抗菌剤を塗布して一定期間、細菌の侵入を防止します。

○PTCの効果は?
 Home Careのみと、PTCを併用した場合の10年間の疫学的研究結果では、PTCによって、ウ蝕の発生は90%減少でき、歯周病による歯肉退縮(歯茎の歯肉が落ちて歯の根元が露出する現象)をほぼ完全に防止できることが報告されています。

○歯周病へのPTCの効果は?
 当歯科医院での20年間の治療結果を分析すると、4mm未満の歯周ポケットの場合は2〜6ヶ月で多くの場合完治します。
歯周ポケットが5mm以上ある場合は、一旦取り除かれたプラークは、およそ、4〜6週間後には再度形成されることが多いので1〜2ヶ月毎にPTCを行って、除菌することをお勧めします。

○成人病へのPTCの必要性
 糖尿病・高血圧症・脳梗塞・心筋梗塞・関節リュウマチなどの治療を受けた方や、現在治療中の方は是非、PTCをするとによって起炎物質(細菌感染によって発生する炎症を誘発する物質)の発生を抑制し、現在治療中の疾患の進行を抑制することをお勧めします。