歯周病は、ばい菌(プラーク)によって歯を支えている歯肉、骨が破壊される炎症性の病気です。進行すると歯ぐきがはれて、痛みが出たり、歯がグラついて物がよくかめなくなり、最後には歯が抜け落ちてしまいます。地盤が崩れてビルが倒れてしまうのと同じです。以前は歯槽膿漏(しそうのうろう)と呼ばれていました。歯周病がやっかいなのは、症状に気づいた時にはかなり病気が進んでしまっている場合が多いからです。歯周病の初期段階ではほとんど自覚症状がなく、いつのまにか進行してしまうのです。そのため症状が出たときには手遅れになってしまい、抜歯せざるを得ない場合も多々あります。それゆえ、初期の段階で治療してしまうことが非常に大切です。もっと良いのは病気になる前にならないように予防することです。
日々の生活が忙しかったり風邪を引いたときに、歯が浮いたような感じになったことはありませんか?元気なときは体の抵抗力(免疫力)がばい菌と戦っているのですが、疲労などによって抵抗力が低下すると、ばい菌の繁殖を抑えきれなくなり、はれがひどくなってしまい歯が浮いた感じがしたり、痛みがでたり、出血したりするのです。
歯周病はきちんと治療することにより、歯周病の進行をストップさせる、あるいは、進行を遅らせ、歯をできるだけ長くもたせることができます。治療の原理はいたってシンプルです。原因となっているばい菌を取り除くこと(プラークコントロールといいます)により、歯肉の腫れ、出血がおさまり、歯を支えている歯肉、骨の破壊をストップすることができるのです。
それでは具体的にプラークコントロールとはどのように行うのでしょうか。歯周病の原因はばい菌です。そのばい菌は、歯の表面に付着したり、歯の表面に付着した歯石の中に住み着いています。また、歯と歯肉の境目の歯周ポケットと呼ばれるばい菌のたまり場で繁殖しています。ばい菌はバイオフィルムというバリアの中に生息しているため、うがい薬や塗り薬は効果がありません。1番効果的なのは歯間ブラシ等でばい菌そのものを取り除いてしまうことです。歯周病の特効薬は、歯間ブラシ、歯ブラシなのです。ですから今までの朝起きたときや夜寝る前に"エチケット"として行っていた"ハブラシ"と、歯周病菌を取り除くプラークコントロールとは全く別なものです。詳しい内容につきましては治療中に歯科医師、歯科衛生士がご説明いたします。
歯周病の治療は、歯を削って詰め物をする虫歯の治療や歯型をとって入れ歯をいれる治療とはまったく異なり、自然治癒力を応用するため期間がかかりますが、頻繁に来院していただく必要はありません。
進行の程度にもよりますが1ヶ月期間があいても問題ありません。定期的に根気よく通院していただくのが理想です。
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治療前の腫れた歯肉 |
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プラークコントロール後 |
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